IDPFとは国際電子出版フォーラムのことです

皆さんお疲れ様です。よんです。
無事に東京から帰ってまいりました。話を聞くと先週西日本はすごい大荒れの天気だったようですね。幸い東京のほうは少し降っただけだったんですけど、早く梅雨明けして欲しいものですね。

さて、まだIDPFコンファレンスの内容を書いていなかったので、今日はそれを書きたいと思います。電子出版の標準化の内容でしたから、これは是非とも。

IDPFとは?

IDPFとは、International Digital Publishing Forumの略称で国際電子出版フォーラムのことで、米国の電子出版標準化団体です。よく電子書籍の話を聞くときにEPUBというフォーマットの話も一緒に聞くと思うのですが、この仕様を策定した団体でもあります。

このコンファレンスについて

 

コンファレンスは13:00から18:00まで…長いです。途中1時間の休憩が入りますが、計4時間の長丁場。気合いを入れなければ。ちなみにこのコンファレンスは写真撮影も録音も可。さすがは標準化団体。

入る前に事前に送られてきたチケットを渡すと、入場証代わりにEPUBのバッヂをもらいました。オシャレですね。

 

そして会場へ

まずはIDPFの理事(日本)をされているの萩野氏の挨拶。

今回のコンファレンスは、EPUB3のコンファレンスでこれほど大規模なものはアジア初ということです。日本の電子出版については、それほど期待が寄せられているとのこと。歴史に残ると言われていましたが、それは今後次第ですね。

このコンファレンスはいくつかのセッションに別れています。

コンファレンス1(13:00-14:00)
「EPUB3普及のためのReadium計画ー実際を担う現場からの報告」
コンファレンス2(14:00-15:00)
「最新事例から表現の可能性を見る-EPUB3はここまでいける」

休憩

コンファレンス3(16:00-17:00)
「EPUB3日本語対応・実践事例を中心にーいつから始まるのか?誰がそれを担うのか?」
コンファレンス4(17:00-18:00)
「総評としてグローバルに日本語対応の現実を踏まえ一評価と課題」

このような流れです。

非常にボリュームのある内容なのでポイントだけまとめてみたいと思います。

 

コンファレンス1

最初のコンファレンスは、Google Chromeの拡張アプリケーション「Readium」というEPUB3ビューワーの紹介でした。世界標準になりつつあるEPUB3ですが、このフォーマットのビューワーはまだ多くありません。というのもEPUB3はまだ新しく、縦書き、ルビなどに対応しているのでこういう仕様を表現するのは、やはり難しいのでしょう。

このReadiumはオープンソースなので自由に自分の環境にインストールして使うことができます。実際に動作しているところを見ましたが、縦書きのファイルもサクサク動いていました。ルビにはたくさんの種類がありますが、それらにも対応しているようです。

このReadiumの他に、もうひとつツールの紹介があったのですが、「epub media overlays 3.0」というテキストに朗読音声を同期させるツールです。これも動作を見たところ非常によくできていました。障害者や子供の絵本に活用できそうです。

EPUB自体はまだまだこれからの技術ですが、HTML5と連携することで非常に強力なファイルフォーマットになるということでした。

 

コンファレンス2

作家であり、WebやEPUBの専門家であるエリザベス・カストロさんの講演。これは非常に専門的なコンファレンスでしたので割愛します。EPUBの仕様の詳細を紹介されていました。xmlやHTMLのタグにまで話が及んでいたのでHTMLに馴染みのない方はおそらく?だったのではないでしょうか。私は非常に面白かったんですけど。EPUBの仕様を非常によく熟知されていて参考になりました。

そしてここで休憩。

時間を持て余したので少しだけ展示会をブラついてきました。

ふ~。さー後半戦。私の集中力は保つのか…。

 

コンファレンス3

集英社、SONY、楽天のそれぞれの取り組みの紹介でした。ここはメモ書きをそのまま。

集英社

漫画は見せるのが難しい
OMF Pacagerを開発
様々なデバイスに対応

epubはこのように解釈
easy publish(簡単に開発)
easy to build(簡単にチャレンジ)
Exciting publishing(面白い表現)

 

Sony

Reader Storeを開設
HTML5ベースのwebアプリ

なぜepub3なのか?
早い時期からepub2に大きく貢献してきた
標準的なwebプラットフォームであり、オープンスタンダード
いずれはアプリではなくブラウザで読めるように

リッチコンテンツの適用(Simple Image Template)
グローバル展開・マルチデバイス
epub2のようにepub3を自社サービスに

 

楽天

楽天koboのミッション
読書文化のルネサンス、そして革命

楽天もepub3を選択
なぜか?
オープンなエコシステムであり、急速的なコンテンツの増加に対応するため。独自フォーマットでは対応できなくなる。

 

コンファレンス4

最後のコンファレンスは、まとめのコンファレンスでした。

 

出版デジタル機構
植村氏

デジタル出版は誰でも参加できる
新しい人たち、新しいアイデアが必要
100万タイトルを確保が目標

日本電子出版協会
下川氏

epub推進
epubのセミナーをすると200名ほどはすぐに集まる
それだけ期待が集まっている
数年後にはブラウザでEPUBを読む、WordでEPUBを書く時代に。

日本電子書籍出版社協会
河内氏

epub検証チームを作成
電子書籍の歴史はファイルの作り替えの歴史
フォーマットが一定基準までいけば版元はうるさく言わない
日本の大手がグローバル化に積極的なのは非常によい
大きな進歩と考える

電子出版制作・流通協議会
田原氏

2012年はepubを広げる年
コンテンツ制作のレベルアップ➡集約➡スピードアップ
これらの循環

 

ビル・マッコイ氏からの質問

リッチなインタラクティブが成功する分野は?

田原氏:ポテンシャルはすべての分野にある
河内氏:本と違うものを作るのではなく、まずは本の従来のものを踏襲すること
下川氏:楽天がeインクを始めたのがよい。紙の代替えから新しいものが始まる
植村氏:新しいものは読者のニーズから生まれる。紙だ電子だという議論は早く終えたい。

普及するために何を解決しないといけないのか?

河内氏:epubに限らず一定の仕様になること。同じ方向に向かうこと。
下川氏:まだまだビジネスが始まっていないことが問題。今日から始まったと言ってもいい。楽天が出すから7/19から始まる。綺麗なepub3ファイルを渡せば売れる、epubで作っておけば間違いない、と言われるような環境を早く作ること。
田原氏:読者が魅力的だと思うものになること
植村氏:作りやすく、生産性のよいもの。ただ、フォーマットは読者にはまったく関係がない。早く電子書籍で面白いものが読める環境に。

良いものはかならずプロフェッショナルの手にかかるがそれも二極化していくだろう
プロフェッショナルなもの、誰でもできるもの
紙ではプロフェッショナルの手にかかるが電子は誰でも踏み込める

数年後の電子書籍の売り上げはどれくらいになるか?

植村氏:コミックや雑誌は新しく素晴らしい発展をしてきた。8~10年後は充分に2~3割の売り上げはいくだろう。

紙であれ、電子であれ、良いものを作るということは変わらない。良いものを作れば意外とスイッチするのは早いだろう。

 

という内容でした。

以前の記事にも書きましたが、このコンファレンスを聞き終えた時には、日本もようやく標準化の流れに乗ったんだ、と感じました。
今までの電子書籍は、企業がそれぞれの仕様で作っていましたが、やはりそれでは広まらないのではないかということは、誰もが感じていたことのようです。紙の書籍の作りにルールがあり、仕様があるように、電子書籍も同じ仕様に統一されなければ難しいでしょう。

上にもあるように読者にとっては、読めればフォーマットなんてなんでもいいんですが、作り手からすればそうはいきません。作りにくいだけです。

著者、編集者、読者にそれぞれメリットがないといけませんね。そのためには標準化は最優先事項なのだと感じました。

さて、これでIDPFコンファレンスのレポートを終わります。長い記事にお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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