本の力

こんにちは、くわわです。
5月も下旬になると、日中は汗ばむ程の陽気ですね。
そろそろ冬服を仕舞わねば…と思いつつもまだ何も手をつけていないものぐさな私…。でもそのうちまた寒くなるし、まあいいか(笑)。

今日はまた、読書についてのお話です。

皆さんは本を選ぶときはどういう基準で決めますか?
前にも書きましたが、私は本屋に行って、新刊コーナーに平積みされたものをジャケ買いをして読み、気に入れば同じ作家さんの本を集めまくります。つまり、基本的に自分が読みたい本は自分で決めます。人から薦めてもらった本は面白ければ返したあとに自分で買います。

自分が面白いと思った本は他の人にも見てもらってその面白さを共有したいって気分、ありますよね。だから私は人に本を貸しまくっています。
どれ位かというと、それらが一気に全部返ってきたらきっと本棚に入りきらなくなるだろうな、という量です。誰に何を貸したかもはっきり覚えていません。最近忘れっぽくなって…、いや、前からです(笑)。
読んだ人から面白かったという感想を貰えることを期待して貸すのですから、その言葉を聞くのはもちろん、その人がその作家さんの別の本を買ったと聞くと、自分の懐が豊かになるわけでもないのにとても嬉しくなります。

そんな中で、最近特に嬉しいことがありました。
最近まで殆ど読書の習慣がなかった知り合いが、職場が変わったことで時間に余裕が出来るようになり、本を読むようになったと言ったのです。
その人は映画をよく観る人で、ある時ふと、気に入った映画の原作本を何気なく手に取ったことから読書の楽しさに目覚めたようです。
私がその人に、面白いよと薦めたのが、司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』でした。たまたまその時、他の人に貸していたのが戻ってきて鞄に入っていたのです。

『燃えよ剣』は、ご存じの方も多いと思いますが、今から半世紀前に発表された、新選組の副長土方歳三を主人公に描いた、歴史小説の金字塔と言える作品です。
ただ、文体や単語が現代の言葉よりも難しくて一見すると読みにくいのでどうかとも思ったのですが、その人は見事にはまったようです。最初はなんじゃこりゃ!?と思ったらしいのですが、二度繰り返して読んだことや、土方歳三の魅力やその感想を熱っぽく語る姿に私は感動を覚えました。
しかもその人は、最近関西方面に社員旅行に行った帰りに、どうしても行かせて欲しいと頼んで、最終日に自由行動として、京都に今も残る新選組の屯所跡『八木邸』に行って、今も柱に残る刀傷などを見学して来たそうです。さすがに時間が短かったので今度は自分でゆっくり回りたいと言っていました。
私はその人からお土産のお菓子をいただきながら、改めて本の力って凄いな、と思いました。
半世紀も前の本。そして150年も前の話。そしてその本を書いた司馬遼太郎さんもお亡くなりになって20年近くになります。それでも今なお、確実に読者は増え続け、新たなファンが生まれているのです。
しかも、その知り合いと一緒に八木邸に行った同じ会社の人が、後日『燃えよ剣』を買ったというオチまでついていました(笑)。

末端ではありますが、本に携わる職業に名を連ねる身として、こういう感動をお客様やその先の読者の方達に、一人でも多くお伝えできたらいいなと、しみじみ思えた出来事でした。

ちなみに今年は新選組結成150年という節目の年です。京都は勿論、新選組ゆかりの土地では様々なイベントがあるようです。
興味のある方は是非、調べてみてください。

燃えよ剣

燃えよ剣(上)新潮文庫

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