熱中症について


photo by Froschmann : かえるおとこ

シンです。今年は例年より梅雨明けが早く、いつもの年よりも余計に早くから連日猛暑が続いています。この季節は家では扇風機だけが頼りの私にとっては、地獄のような毎日が続き、本当に嫌になります。週末にせっかくの休みがあっても、暑さで何もする気になれず、これでは空調の利いた会社で仕事でもしている方がよほどマシではないかと思うことがしばしばです。

さて、この時期はここ数年「熱中症」による健康被害が毎年のように話題になりますね。みなさんも様々なメディアを通じてこの病気についての知識を持ち、それぞれ自分に合った対策をされていると思いますが、いざ熱中症の予防法や応急処置について問われると私のようにどうだったかなという方も多いのではと思い、今回は改めてこの健康被害について取り上げることにします。

熱中症の定義

この時期、毎年ニュースにのぼってくる「熱中症」。「車内で留守番をしていた子どもが熱中症で重体」「海辺でバーベキューをしていた会社員が熱中症で倒れた」…。こうした事例は毎年のことで、熱中症については誰もがよく知っているような気がしますが、まずは「熱中症」の定義から見ていきましょう。

「熱中症」は日射病や熱射病などの総称で、 「高温下での運動や労働のため、発汗機構や循環系に異常をきたして起こる病気。体温上昇、発汗停止とともに虚脱・けいれん・精神錯乱・昏睡などを起こし、生命の危険を伴うこともある」とされています。日差しが強く、気温がぐんぐん上昇する夏場は思いがけず症状の進行も早いので要注意です。

熱中症のメカニズム

熱中症を引き起こすそもそもの根底には、ヒトの体温を調節するメカニズムがあります。熱中症のメカニズムを体温調節の仕組みから見てみましょう。体温調節の仕組みには大きく次のような2つの方法があります。

1.皮膚の表面から空気中へ熱を放出する
2.汗をかき、その汗が蒸発するときに熱を奪うはたらき(気化熱)を利用する

まず、体温よりも気温が低ければ、皮膚から空気中へ熱が移りやすく、1.により体温の上昇を抑えることができます。また、湿度が低ければ汗をかくことで熱が奪われ、2.により体温を上手にコントロールすることができます。

しかし、気温が体温より高くなると、1.の空気中への熱の放出が難しくなるため、体温調節は2.の発汗だけに頼ることになります。ところが真夏日によくあるように、気温が高いばかりでなく、湿度も75%以上になると、汗をかいても流れ落ちるばかりでほとんど蒸発しなくなります。そのため、この条件下では発汗による体温調節すら事実上できなくなってしまいます。

また、体温が37℃を超えると皮膚の血管が拡張し、皮膚の血液量を増やして熱を放出しようとしますが、この時体温はさらに上昇し、発汗などによって体の水分量が極端に減ると、今度は心臓や脳を守るために血管が収縮し始めます。つまり、ここでも熱が放出できなくなってしまいます。

熱中症は、このように体温を調整する機能がコントロールを失い、体温がどんどん上昇してしまう機能障害なのです。また、炎天下ばかりでなく、室内で静かに過ごしていても起こりうるので問題です。特に、高齢者が室内で熱中症になって倒れているのを発見されるというケースが少なくありません。これは高齢者が若年齢者に比べて体内の水分量が少ないことが原因の一つとされています。

熱中症を疑うべき症状について

熱中症は、症状の度合いにより、大体次の4つに分類されます。(1~4の順に後になるほど人体への危険度が高くなります。)

1.熱失神
(症状)
めまいがしたり、失神したりします。
(原因)
高温や直射日光によって血管が拡張し、血圧が下がることによって生じます。

2.熱けいれん
(症状)
暑い中での運動や作業中に起こりやすく、痛みを伴った筋肉のけいれんが脚や腹部の筋肉に発生しやすい。
(原因)
汗をかくと、水分と共に塩分も失われますが、この熱けいれんは血液中の塩分が低くなり過ぎて起こる症状です。水分を補給しないで活動を続けたときはもちろん、水分だけを補給したときにも発生しやすくなるそうです。
(応急処置法)
けいれんしている部分をマッサージする。また、体の特定の部分(例えば脚など)が冷えているなら、その部分もマッサージしていく。

3.熱疲労
(症状)
多量の汗をかき、皮膚は青白く、体温は正常かやや高めで、めまい、頭痛、吐き気、倦怠感を伴うことも多いそうです。
(原因)
体内の水分や塩分不足、いわゆる脱水症状によるものです。 死に至ることもある「熱射病」の前段階ともいわれ、この段階での対処が重要と言われています。
(応急処置法)
心臓より足を高くして、あおむけに寝かせる。水分が摂れるなら、少しずつ薄い食塩水かスポーツドリンクを何回にも分けて補給する。

4.熱射病
(症状)
汗をかいておらず、皮膚は赤く熱っぽく、体温は39℃を超えることが多いそうです。めまい、吐き気、頭痛のほか、意識障害、錯乱、昏睡、全身けいれんなどを伴うこともあります。
(原因)
水分や塩分の不足から体温調節機能が異常をきたした状態。そのままでは死に至ることもあります。極めて緊急に対処し、場合によっては救急車を手配する必要があります。
(応急処置法)
上半身を高くして座っているのに近い状態で寝かせ、とにかく体を冷却する。首、脇の下、足のつけ根など、血管が皮膚表面に近いところを氷などで集中的に冷やす。氷がない場合は、水を体にふきかけ、風を送って冷やす。アルコールで体を拭くのも良いでしょう。ただし、このとき体の表面だけを冷やしてふるえを起こさせないよう注意が必要です。
さらに呼びかけても反応が鈍い、言動がおかしい、意識がはっきりしない、意識がない、こういった場合はすぐに救急車を呼び、同時に上記の応急処置をしましょう。また、意識がはっきりしない、もしくは意識がない場合には窒息の恐れがあるので水分補給は厳禁です。それから吐いてしまった場合に備えてのどを詰まらせないよう横向きに寝かせましょう。

1~4のいずれの場合も、熱によって引き起こされる機能障害であり、すばやい対処が症状を悪化させない重要なポイントであることに変わりはありません。
また、“熱中症は夏だけの病気”ではありません。激しいスポーツや重労働の場合は季節を問わず、いつでも起こり得るのです。例えば冬に暖房のよく効いた室内で厚着をしていて起こる場合もあります。

もし熱中症になったら、症状が回復したつもりでも体内に影響が残っていたり、再発のおそれもあります。回復した後でも必ず病院で診断を受けましょう。

熱中症の予防法

熱中症は、ちょっとした注意で防ぐことができます。また、レジャーのときばかりではなく、普段から心掛けるべきポイントを挙げてみますので、さっそく今日から試してみましょう。

1.体調を整える
睡眠不足や風邪気味など、体調の悪いときは暑い日中の外出や運動は控えましょう。

2.服装に注意
通気性の良い洋服を着て、外出時にはきちんと帽子をかぶりましょう。

3.こまめに水分補給
「のどが渇いた」と感じたときには、すでにかなりの水分不足になっていることが多いものです。定期的に少しずつ水分を補給しましょう。特に夏場は汗と一緒に塩分が失われることを考え、スポーツドリンクなどを飲むのがオススメです。

4.年齢も考慮に入れて
体内の機能が発育途中の子どもや、体力が衰えはじめた高齢者は熱中症になりやすいものです。年齢を意識して、予防を心がけることも大切です。

熱中症になってしまったら

熱中症かもしれない、と思ったらまずまっ先にしなければならない基本中の基本を挙げてみましたので、いざというときのために、ぜひ覚えておきましょう。

・涼しい日陰やクーラーの効いた室内などに移動する
・衣類をゆるめて休む
・体を冷やす
氷や冷たい水でぬらしたタオルを手足に当てる。
氷や冷たい水がない場合は、タオルやうちわ、衣服などを使ってあおぎ、風を送って冷やす。
・水分を補給する
このとき、水分だけではなく、汗によって失われた塩分も補給する必要があります。スポーツドリンクなどを少しずつ何回にも分けて補給しましょう。

ここまでは、自分でもできる応急処置です。軽い症状の場合はこれでよい場合もありますが、気分が悪くなるほどなら、ここから先は、周囲の人にサポートしてもらう必要があります。みなさんの家族や友人・知人が熱中症になったときのことを考えて、レジャーなどにでかける時は、タオルや冷たい水を入れた水筒、スポーツドリンクや日陰をつくれるようなパラソル、レジャーシートなどを持参したいものです。

終わりに -なぜ熱中症が危険なのか?-

熱中症が危険なのは、自分では「ちょっと体調が悪い」「少し気持ちが悪い」程度と思っている間に症状がどんどん進んでしまうケースも多いからです。このため、周囲の人の気遣いに「大丈夫」と答えたすぐ後に倒れてしまう場合もあるといいます。

毎年のようにこうした健康被害が後を絶たないのは、自分で気づきにくく、気づいても「たいしたことはない」と感じてしまうことが多いからなのでしょう。従って、炎天下や暑い場所に長くいる場合は、自分で気をつけるのはもちろんですが、周囲の人同士でお互いに気をつけ合うことが何より大切なのです。

まだまだ夏は始まったばかり。みなさんも熱中症対策を万全にして、この暑い季節を元気に乗り切りましょう。では今回はこの辺で。

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