シンのオススメの本 -思い出の推理小説たち-

シンです。

あれほど暑かった夏が嘘のように、朝晩はめっきり冷え込むようになり、秋の到来を肌で感じる季節となりましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。 さて、今回のテーマはブログメンバーの共通のテーマで「おススメの本紹介」です。 とはいえ、私のブログではこれまでにも色々な本を紹介してきており、正直あまり新しいネタはないというのが実情で…。最近では時代小説のご紹介もしましたね。もちろん今でも時代小説は折りを見て読んでいて、佐伯泰英さんの「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズの最新刊『弓張ノ月(ゆみはりのつき)』も先日やっと手に入れて読んだばかりです。ただこれはシリーズものであり、初めての方にはどうしても1巻から読んでいただく必要があるので、いきなり最新刊をオススメもしにくといううらみがあります。そこで今回は私が過去に読んだ中で思い出に残っている本について紹介したいと思います。

1.江戸川乱歩の「少年探偵」シリーズ

私がまだ中学生の頃、学校の図書館でよく借りて読んでいた思い出があるのが、ポプラ社の江戸川乱歩の「少年探偵」シリーズです。江戸川乱歩といえば日本の推理小説のパイオニアとしてあまりにも有名ですが、この「少年探偵」シリーズのように自分の作品を数多く子ども向けに書き直したという推理小説作家は彼をおいて他にはないでしょう。それというのも、江戸川乱歩の作品の多くに残酷またはグロテスクな描写が見られ、とても万人向けとは言えないため、それらはもちろん子ども向けの作品ではないからです。子ども向けに書き直したために、多くの人が子どもの頃から江戸川乱歩の作品に触れる機会があり、今なお大きな支持を受けているのではないでしょうか。

ふと昔読んだこの「少年探偵」シリーズをまた読んでみたくなり、手に入れようとしましたが、ずいぶん挿絵や装丁が様変わりしていました。現代風と言えばそうですが、私にとっては昔の何やらおどろおどろしい雰囲気の挿絵の方が良かったと思います。しかし、これも時代の流れなのでしょう。また作品の数自体も昔に比べて減ってしまったようです。どうやら江戸川乱歩以外の手による翻案の作品や、子ども向けには書き直しをしてもなお不適当と思われる作品は絶版になってしまっているようで、ちょっと残念な気がしました。

2.「怪盗ルパン」シリーズ

江戸川乱歩の「少年探偵」シリーズの次に私が子どもの頃よく読んだ本が、同じくポプラ社の「怪盗ルパン」シリーズでした。モーリス・ルブランが原作の作品をもとに、翻案されたものだと思いますが、外国が舞台で、登場人物の名前も全て横文字のはずだったと思いますが、よくある外国の翻訳もののように、登場人物が多すぎて名前がごちゃごちゃになってしまったという記憶がないので、恐らく子ども向けに相当登場人物は取捨選択がなされたのではないかと思います。

これについても同じく「少年探偵」シリーズと同様、現在どうなっているのか調べてみましたが、同じ出版社であるため、ほぼ同様な状況のようで、本の装丁や挿絵は現代風になり、モーリス・ルブランの原作でない、出版社による創作またはルブラン以外の作者を元にした翻案による作品と思われるものは、今では絶版になっているようです。まあ、こちらの方は原作に子ども向けでない残酷な描写があるという話は聞いたことがないので、その意味では問題はないのでしょうが。

3.「名探偵ホームズ」シリーズ

これも同じくポプラ社等からコナン・ドイルの原作をベースにした子ども向けの翻案のシリーズが出ていますが、なぜかこれについてはほとんど子どもの頃に読んだ記憶がないので、その頃は興味を引かれなかったようです。あるいはたまたま当時の図書館にあるのを気づかなかっただけかも知れませんが。これは勝手な想像にすぎませんが、「怪盗ルパン」シリーズの裏表紙(本の表紙をオモテにして置いた時に底になる部分。印刷用語では第4表紙と呼びます。)に誇らしげに「翻訳権独占」と銘打ってあったのに比べ、ホームズは他複数の出版社からも出版されていたため、ポプラ社はどちらかと言うと「怪盗ルパン」シリーズの方に力を入れていたのかも知れません。

そんなわけでコナン・ドイルの原作の翻訳(完訳)を読んだのはかなり後になってからのことのように記憶しています。でも、これについては子ども向けに書き直したものを読むよりも、大人向けの翻訳を読む方が断然面白いのではないかという気がしています。

おわりに

本というのは不思議なもので、昔読んだ本を思いついて読んでみると、それを前に読んだ当時のことをふと思い出すということがよくあるものです。(音楽についても言えるのかもしれませんが。)みなさんも、もし時間が許すのであれば、新しい本ばかりでなく、昔読んだ思い出の本をもう一度読み返してみるというのもいいのではないでしょうか。何か当時は気づかなかった新しい発見があるかも知れませんよ。では今回はこの辺で。

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