知っても役に立たない(?)印刷用語(5) 名刺

business_meishiどうも、よっさんです。

“日常生活では全く使わない、知っていても何の役にも立たない”印刷業界の専門用語を不定期でご紹介する本シリーズ、好評につき(…多分違う)今回で早くも(しつこくも?)5回目となりました。今回は、名刺について…って趣旨と違わない?なんて言わずおつきあいいただければ…。(←単なるネタ切れです。すみません)

日本は世界でもっとも名刺を使う国だと言われ、ビジネスや自己紹介に欠かせないツールですが、そんな名刺の歴史ウンチクから。

もともとは中国が発祥の地

名刺の起源は中国と言われ、早くも唐の時代(7~10世紀)の書物に登場します。当時は木や竹を削って作った札に自分の名前を書き、不在だった訪問先の戸口に刺して訪問したことを知らせていました。この札をと呼び、転じて名札のようなものを名刺と呼ぶようになったのです。名「」と表記しないのはこんな由来に基づきます。

時は下ってヨーロッパでは…

ヨーロッパで最初に名刺が使われたのは、16世紀のドイツだと言われています。こちらも中国と同様、不在だった訪問先に訪問したことを知らせるために、自分の名前を書いたカードを残すという使われ方をしていたようです。その後18世紀頃には、名刺はヨーロッパの社交界で欠かせないものとなります。当時からすでに名刺の形式や使い方のマナーが存在し、また銅版画を入れた華やかな図柄の名刺が多かったそうです。19世紀中頃には、フランスの写真家ディスデリが考案した写真入り名刺が登場します。写真が入ることを考慮した82mm×57mmというサイズが、現在のヨーロッパ名刺の定型サイズにつながっています。

あまり名刺を持たないと言われるアメリカでは…

アメリカで名刺(「Calling Card」または「Visiting Card」)が使われ始めたのは南北戦争後(19世紀後半)の社交界で、当時の名刺はお金持ちのステイタスでもありました。当時のマナーに関する書物には、名刺に使う書体、書き方、使い方、さらには独身の男性が女性に名刺を渡してもよいかどうか、独身の女性は外出時に何枚名刺を持ち歩くべきか、など事細かに書かれてあります。社交のために使われていた名刺がビジネスにも使われるようになったのは、20世紀半ば頃からです。

われらが日本の名刺は…

日本で名刺が使われ始めたのは江戸時代で、和紙に墨で名前を書き、中国と同様に不在だった訪問先の戸口に差し込んで使っていました。江戸末期頃より手書きから印刷された名刺が使われ始め、来日した外国人と交流するために用いられたようです。その後、一般の人々の間でどのように普及したのかはよくわかっていませんが、鹿鳴館時代(明治初期)には社交界の必需品となっていたようです。

ちなみに、日本では初対面時に名刺交換を行うことが慣習となっていますが、これは世界的に見ると少数派。日本と同様に韓国・台湾・中国などの東アジア圏や東南アジア諸国でも初対面で交換しますが、欧米では別れ際に氏名や住所・役職・連絡先などの確認のために交換することが多いそうです。

サイズに決まりがあるような、ないような…

名刺には用紙サイズのA4やB5のような規格サイズはありませんが、日本でもっとも一般的な名刺サイズは91mm×55mmです。これは尺貫法に基づく3寸(91mm)を長辺とし、短辺がその黄金比(√2 :1) となる55mmとしたことから生まれたと言われています。サイズはそれ以外に、88mm×48mmの女性用、あるいはあえて異なるサイズにして名刺の差別化を図る企業や個人もたまに見かけます。

ではこのサイズが世界的に流通しているのかと言えばそうではなく、国によってまちまちです。中国を中心としたアジア諸国では90mm×54mm、アメリカでは3.5インチ×2インチ(89mm×51mm)、ヨーロッパでは82mm×57mm、89mm×49mm、85×55mm、90×55mm…調べれば調べるほどバラバラでした。こんなところにもお国柄があるのでしょうか?

見たことないけどこんな使い方も…

最近は家庭用プリンターでも凝った作りの名刺を作ることができ、自作名刺を活用される方も珍しくありません。どころか、最近は「ママ名刺」なるものでママ友との交流を広げる人もいるとか。確かに、最近は個人情報保護の観点からクラス名簿を作成しないので、こういうのがあると便利…とは思いますが、名刺を作る労力と渡す勇気を持ち合わせない、ずぼらで人見知りなよっさんでした。

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