日常を切り取る(後編)閲覧注意!ムシ・虫・蟲の大行進。カメラ道楽部屋(13)

秋も深まって来ましたが、カメラの性能よりも、まずは日々を過ごす中で、目の前に「被写体」がある事が大変嬉しい window-tribe です。


「日常を切り取る」と題してニシキプリント東広島工場周辺の様子をお知らせしてきましたが、前編・中篇と植物中心でしたので、後編として、工場が操業開始してから今まで撮り貯めてきた写真の蔵出しで生き物オンパレードとして締めくくろうと思います。


本工場は1991(平成3)年、広島大学の統合移転に合わせて東広島市高屋町の東広島中核工業団地に進出してまいりました。

移転当初の第一印象はどうみても「ド田舎」でしたが、弊社会社案内の紙上では、ものは言いようで「高原の書籍工房」というキャッチフレーズにしました。


まずは楽しくスタート

私がまだ小学生だった頃、昆虫を擬人化した「みつばちハッチ」という子供向けアニメがありましたが、花に蜜を求める虫たちの様子はいつ見ても微笑ましいものがあります。

上の「ベニシジミ」は、左の写真では吻(ふん)という口がクルクルっと巻かれていますが、右の写真では伸ばして花の中に差し入れています。

下のミツバチの仲間の「クロマルハナバチ」の方は頭を花に突っ込んでいますが、足元には花粉団子を付けています。巣に帰ったらこれを幼虫に与えるそうです。

実際に工場敷地内で出会った虫たちを見ても、私の目には「バッタ」達はとぼけた表情だったり、「ホタル蛾」が手を挙げて「やあ」と挨拶しているようにも見えますし、「オニヤンマ」が何だかでっかい眼鏡と出っ歯のガリ勉君のようにも見えたりするので不思議です。

今でこそ通勤者の最寄駅であるJR白市駅までの道路はトンネルが開通したおかげで快適になりましたが、操業当時は曲がりくねって離合困難な道でしたので、これを避けて大きく迂回し隣の西高屋駅を利用していました。

その当時の道中で印象的だったのが、ヘビ、カメ、カエルなどの小動物が車に轢かれて死んでいた事です。

私は左利きのせいなのか人と逆の発想をするマイノリティーな人間なのですが、多くの人達が「虫が出た、クモが出た、ヘビが出た」と言う中で、私は人間の方が、元々は他の生き物達のテリトリーに侵入してきて我が物顔に「原住民」に迷惑を掛けているんじゃあないのかなと考えています。


あんまり好かれていないけど・・・

さて、前述のように考えると、多くの方々が毛嫌いする8本足のクモの立場では、私が近づくと「あっ、2本足で歩く進撃の巨人がやって来た!気味が悪い!」って思っているのではないかとも考えることができます。

そうこうしますと、お互いが気味が悪いと思っている者同士で、何となく連帯感というか親近感が湧いてきて、クモの巣を見ると見入って写真を撮るようになりました。他の生き物でしたら近寄ると逃げてしまうものも多いのですが、別段逃げるわけでもなくモデルになってくれます。

アップで見ると愛嬌のある表情もしてくれますが、大方の理解が得られないと思いますので、今回はクモさんにはモザイク入りになってもらい、「クモの巣」に焦点を合わせてみました。

「クモの巣」といえば見え難いものの代表ですが、朝日に輝く円形に張られた巣や、雨上がりや霧の晴れた後にアップで見ると、宝石のような雫をたたえた巣が見られ、詩的な美しさを感じる事ができます。

ヨコ糸の部分は粘液が球状になった粘球が並んでいてクモの巣の粘る部分にあたりますが、タテ糸部分には粘りが無く、クモは主にタテ糸の上を器用に移動して、自分の網に引っ掛からないように生活しているそうです。大きくして見ると、これであみだ籤も出来てしまいそうです。

下の写真は「サラグモ」の仲間のものと思いますが、「蜘蛛が雲を作った」という感じでしょうか。

ものぐさな人間が多い昨今ですが、クモの丹念な仕事には尊敬の念を抱いてしまいます。


クモの次に嫌われ者といえば、「スズメバチ」や「アシナガバチ」の類でしょうか。先ほどの「みつばちハッチ」でも悪役の筆頭格です。

さすがの私もクモとは距離を詰めて仲良く出来ますが、彼女ら(働きバチは雌だそうです)とは一定以上の距離を置いてしまいます。

工場の非常階段の下に知らない間に巣を作って、一家がびっちりとひしめき合うようになりました。一方の黄色い覆いの有る巣の中には珍味「ハチノコ」が居るのでしょう。

 そんな彼女らも巣の幼虫たちを育てるために餌を運んできます。前肢でつかんでいる緑のボール状のものは「肉団子」といって獲物を噛み砕いて丸めたもので、これを巣に持ち帰り個室の中に並んで育っている幼虫たちに分け与えるそうですが、そこまで観察する度胸は有りませんでした。


もう一つ、人相が良くないと言えば「カマキリ」が思い浮かびますが、これで結構臆病なのか、それとも獲物に見つからないようにするためなのか、保護色の達人といえます。

緑の固体や褐色の固体とが有りますが、カメレオンのように場所々々で色が変えられるわけではありません。しかし体の色に適した背景の所にいると、かなり見つけにくいです。


善人面代表と言えば「テントウムシ」です。幼虫期はかなりの傾奇者で、サナギになるにつれて丸くなり、成虫になるとみんなの人気者で結婚式の定番ソングの題材にまで昇り詰めます。

そんな表の顔の裏ではかなりの肉食系で、獰猛にアブラムシ達に襲い掛かるハンターでもあります。人間にとってはアブラムシは作物に対する害虫ですので、「生物農薬」という益虫の一面を持っています。


「蟲」を代表して

「蟲」と言えば宮崎アニメ「風の谷のナウシカ」の王蟲(オーム)で見かけますが、今回の標題にも「蟲」という文字を使いました。

辞書によると、「蟲」=昆虫類の総称。動物の総称。とあり、ほ乳類以外のカエルやヘビなど爬虫類や両生類を含めた小動物を指して使う「虫」よりも守備範囲の広い漢字ですが、代表して「カエル」の方々に出演してもらいました。

「トノサマガエル」も場所によっては保護色で見えにくい色をしているようです。

右下は褐色の「アマガエル」ですが、先ほどのカマキリとは違って、周囲の風景に合わせて体の色を変える事ができます。玉ねぎ状の種を載せたらポケモンのフシギダネのようにも見えたりしました。

アマガエルは指先の吸盤で垂直な壁にも貼り付けます。「ミッションインポッシブル」で高層ビルを登るトム・クルーズ演じるイーサン・ハントばりの身体能力です。右下のカエルは肘を掛けて足を組んで寛いで何だか人間になった気でいるようです。


終わりに

以下はカメと言いながらもほ乳類みたいな子、電気ネズミ、「飛ばねぇ豚はただの豚だ」という名セリフを吐いた豚、物憂げなネコなどもファインダーに収まっていました。

このように色々な生き物たちの生活の場にお邪魔して、共存させてもらっているニシキプリント東広島工場の周りでは、近づいて目を凝らして見るだけで「被写体」には事欠きませんので、また何か撮り貯めましたらご紹介します。

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